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代替案?

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Fig-9 代替案?のイメージ図

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代替案?

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Fig-10 代替案?のイメージ図
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5. 環境改善工法の選定方法のまとめと今後の課題
(1)選定方法について
T地区の海浜公園基本計画(親水公園)に提案した環境改善工法の選定方法(フロー)を適用した。これより次のような検討結果を得た。
?第1段階では、現況の空間価値として景観度1.56、動植物生育度0.48(いずれも3点満点)により空間的な位置づけができた。
?第2段階では、第1段階で設定された基本計画の目標値を満足する環境改善工法として、具体的な4つの代替案が抽出された。
?第3段階では、費用対効果が最大となる代替案、ならびに沿岸域利用計画の総合利用の行動方針に基づいて設定された目標区分の移行方向を考慮した代替案がそれぞれ抽出できた。
このように、提案した環境度を用いた選定方法は、現況値ならびに目標値を定量的に把握することができるのに加えて、システマティックに環境改善工法を抽出することが可能であり、環境改善を検討する際に有用な事前情報を提供することが可能と考える。なお、課題を整理すると次のとおりである。
?環境改善工法による効果(環境度の増加分)の元単位、ならびに評価項目毎の効果の推計方法等の充実を図る必要がある。
?今回の適用事例では、環境改善を図る代替案が抽出できた。しかし、他の事例、特にオフサイトで検討しなければならない場合には、同等な価値として評価する方法、ならびにコンセンサスの図り方等についてさらに検討する必要がある。
(2)代替案の評価について
?評価に当たって、費用対効果ならびに対象地域の空間価値の目標区分による評価方法を提案した。これらより、代替案をそれぞれ抽出することができ、利用計画を実施する際の行政判断を行う上での有用な情報を提供することができた。
?また、空間価値による評価において、目標区分と環境度の増加分で評価することにより、代替案を明確に抽出することができた。
?さらに、この対象事例で創出した環境度の増加分?eは、ミティゲーションバンキングにおけるクレジット量に相当し、他の計画実施時の環境創造分としての補填、あるいは他の開発行為者への売却、等の運用を行う上での空間価値として取り扱える可能性のある指標として利用可能と考える。
なお、課題を整理すると次のとおりである。
?空間価値で評価した場合、費用対効果で選定された代替案より、適用事例では費用が4〜5倍程度と高く、財源確保が課題となる。財源確保に当たっては、トラスト制度や各種助成策の検討等が考えられるが、特に、前述した空間価値増加分によるクレジットの運用方策の検討が望まれる。
?環境度の増加分?eをクレジット量として運用する場合、現況の環境度の評点が異なる地域で創出された?eを同価値として評価することが可能か、また、補正の有無等の検討が必要である。
【参考文献】
1)入江功、他2名:種々の水域利用法の海域環境に対する適合度評価の試み、日本沿岸域会議論文集、No.7、pp.51〜62、1995.3
2)中村俊昭、他4名:環境修復プロセスの評価手法の研究、日本沿岸域会議論文集、No.7、pp.37〜50、1995.3
3)藤井敬宏、他2名:沿岸域の空間価値を考慮した用途区分ゾーニングに関する基礎的研究、日本沿岸域会議論文集、No5、pp.41〜51、1993.3
4)東京都港湾局:辰巳の森海浜公園人工海浜等基本計画調査報告書、1992.3

 

 

 

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